農業レポート

ベトナムの有機農業推進

ベトナムの有機農業は、グローバルGAPを取得して、世界的にシェアを拡大しており、日本にも輸出しているとのこと。

日本は、有機農業そのものがまだ少なく、個人農家がグローバルGAPを取得するのは非常に困難、

〝日本の政府は農業を捨てている〟というのが世界の認識といわれる中、国策なき日本に国産農業を守ることは厳しい状況です。

それでも、農業を、生命産業を手放さないことが大事だと思っております。

自分たちの食べるものを自分たちで作るというのは、生きることの基盤ですし、

その基盤を輸入という形で他国に任せた国は、

不作の際にそのつけを払わされます。

実際、ベネズエラがそうでした。

日本も2008年の米国でのトウモロコシ高騰の際、家計はおおいに苦しめられました、その時エジプトでは〝食べるものがない!〟と暴動が起きました。

どこの国のドキュメンタリーだったか覚えてはおりませんが、こんなシーンがありました。

土地を追われた少数民族の農民たちが新しい移住先で、

若者たちは、〝音楽や躍りでお金を稼ぐんだ!〝と盛り上がる中、

老人がポツリと、

〝歌? 躍り? そんなものはすぐに飽きられる、それがなにになる。

土地を失ったら何も食えない〟

とこぼすのです。

まさに日本を想わせる言葉だと思いました。

今は、日本産のサービスはかろうじてお金になっていますが、

お金で買えなくなった時、私たちに何が残るのでしょうか?

ベトナム有機

JAS有機生産者研修に参加して

神戸で行われた有機JASの講習会を受講してきました。

 河野農園としては、

 トレーサビリティ(お野菜の生産から皆さまのお手元に届くまでの経路を見える化)を確立し
 
 これから自然栽培を学んで行こうとする方々に

 少しでも栽培の助けになるように

 知識の共有化を図る思いから受講しております。

 今回は、第三者から見てわかりやすい生産行程管理の表など、

 勉強になる資料を頂くことができました。

 これを参考に、河野農園の実務に合わせて様々の管理表をシステム化して

 行くつもりです。


 また、講習会に参加されている方たちは熱心な方が多く、

「遺伝子組み換えについて、

 肥料として使用される家畜の糞、

 そのもとになる、家畜のエサについては、

 遺伝子組み換えを問うか問わないか」

 という質問が出ました。

 有機JAS登録認証機関は、

 「問わない」

 とのことでした。

 というより、

「国が、家畜のエサについて【遺伝子組み換え不分別】という表記を許可したことにより、

 国内でも不分別のエサが大量に出回り、生産者も組み換えでないものを選べないことから、

 今や、問うことができない状態」だそうです。

 非常に残念なことではありますが、

 現状、有機JASマークが付いていたとしても、

 遺伝子組み換えでないということにはならないようです。


 極端なことを言えば、

 認証マークをはじめとして

 社会的に「基準」というものを

 盲目的に信用することは

 危険かもしれません。

 
 というのも、公的な制度では

 最低基準を定めるのみで

 さらに監査制度があるものの

 不正が行われることはままあります。


 実際の運用は、毎日様々な事象に対応して行きますので

 直接、生産者の

・顔を見て

・畑を見て

・気になったら生産行程管理表まで見てみないと、

 本当の意味での【安心・安全】は得られないのかもしれません。


 これらのことから、

 河野農園としては、

・顔が見られて(セミナー、ホームページ、フェイスブックなどを通して)

・畑を見られて(見学はいつでも受け付けております。

 京都の方でもないと泊りがけになってしまいますが・・・)

・生産行程管理表を作成してお見せできるように

 していこうと思っております。


 皆さまに、本当の意味での安心と安全をお届けし続けるために。


電気柵設営

電気柵設営201875

大雨警報の中、獣害対策用の電気柵を張る。

何しろ広い。


今まで小さな圃場(周囲50m)に設営していたものを、近接する2圃場に大幅拡大。

所轄の3圃場をつなぎ周囲240m、ゲート数4個、圃場間で2m近く段差のあるところが4箇所、そこに270㎝の電気柵用支柱を、30から40㎝の穴をドリルで掘り、60本近く立てた。

イノシシだけなら3段(ほぼ高さ90cm)で良いのだが、鹿よけも考慮し5段(高さ2m)にした。

そのため使用したワイヤーは延1200㍍。

設計から施工まで、次男農園主の力を借りずに、三男と二人でやり遂げることができた。

私自身、この3年間で、電気柵施4度目。

最初の2圃場は農園主の次男にやってもらったが、その後は大半を自分でやってきた。

それが役にたった。

今回の電気柵は、私ども河野農園としても最大規模のもので三男共々、自信が着いた。

ただ、これからの草刈が大変。

最下段は10㎝の高さ(狸などの小動物対策)なので、一雨ふればすぐに草がのび、ワイヤーに触れて漏電を起こし触れてもビリッと感じなくなる。

これでは獣害対策にならない。。

そのための維持管理が非常に重要で、その労力が大変です。

中山間地では、畑で栽培する労力の40%が、これら圃場環境の整備に使われます。


[大地の再生」で有名な矢野先生に学ぶ

「大地の再生」で有名な矢野先生に学ぶ

2018527日矢野智徳先生が「らぽーむ自然農園」に来られ、

「大地の再生 メンテナンス講座」を実施されました。

そこに一日参加して学ぶ機会をいただきました。

矢野先生講義

矢野先生に直接学ぶ機会を与えてくださったのは、増茂匠様。

矢野先生グループの関西地区リーダーで、綾部で開かれた

「小さなアースデイ」にてご縁をいただきました。

51日に河野農園にお越しいただき、直接農園をご覧いただき

ご指導いただきました。

そこで学んだこと

1)水脈を大事にする。

水が空気を地中に運ぶ。大地は水によって呼吸している。

水を遮断する現代土木工法は、空気も遮断し、大地の勢いを失わせ

永続せず必ず崩れていく。

水の道を確保し、その通りをよくする。

人が窮屈に感じるものは、植物・土・山・川も窮屈に感じる。

それでは健康的な永続は望めない。

2)地肌を露出させる現代農法は、土の表面に強い空気圧をかけることになり

土を締め付ける。

結果、空気・水の流れが阻害され土を呼吸できなくし固めてしまう。

土は硬くなり、何度も耕運しなければならなくなる。

そして、土壌生物も死滅し、土も枯死していく。

3)合理性を追求して、水の道を直線で作ってはいけない。

自然の川のように、蛇行させ起伏を持たせ緩やかに流れるように配慮せよ。

自然には直線・単線はない。

複線・曲線で構成される。

しかも複雑・多様・柔軟な動きを持っている。

その動きは自然の動きを観察しまねるとよい。

そして、具体的に「水脈」の確保の仕方、

水と空気の交流点となる「点穴」の堀り方、

そしてそこに入れる炭や竹などの用い方を実作業をしながら、

河野農園メンバー全員が教えていただきました。

今回の矢野先生の講習は、この実践を踏まえて、

それをどのように維持メンテナンスするのかという次のステップを、

実際に先生が3年間かけて改善されてこられた「らぽーむ自然農園」の場を

借りて行われました。

家の周りの庭からはじめて、水田、池、畑のそれぞれについて具体的に

指導いただきました。

矢野先生現場実習

今回は、その詳細を紹介いたしませんが

私が新たに学んだ重要なpointを列挙させていただきます。

1.環境改善には、環境を構成する領域:大地、生物、気象、宇宙のほかに

時間軸、場、自分の気を考慮しなければいけない。

具体的には、すべてを一気に片付けようとしてはいけない。

すべてを力に任せて人間の手で片付けようとしてもいけない。

時間の動き、自然の力を利用せよ。

あくまでも自然の動くきっかけを作るように働きなさい。

そのためには、自然の動きを絶えず見ておく必要がある。

(私の経験で恐縮ですが、雨の日は必ず雨量計を見、

開墾地、畑の水はけを見に行き、またそれらの流れ込む川の流れを見に行って、

雨の及ぼす影響を体感させ、

またその雨の中で溝掘りをし水はけを順次良くしてきたので、良く理解できました。)

2.人の感覚というメジャーを大事にせよ。

人がうっとおしいなと思うところは、空気・水の流れがよどんでいる。

そこにあるものは、整理し、風が心地よく通るようにしなさい。

整理整頓は必須、無用に積んではいけない。

風が通るように置きなさい。

3.清流には、泥水が流れない。

(実際には、私どもの綾部でも人の住んでいない

上流域においてですら、泥がたまってあおこが発生している

ところが多々あります。当然、清流魚はいない。)

泥は地底にたまり、空気と水の流れを遮断し、腐敗させ

土・植物の活力をそぐ。

泥水を出してはいけない。

石が鮮やかに輝きを保つように努めなさい。

4.改善する際に、ゴミと思って無用に積んではいけない。

動かす時には、必ず動かす先のところで役に立つように考えよ。

ゴミを出さないように、また一つ一つの動作が無駄のないように気を入れよ。

5.森や林の風の流れを良くしようと思えば、まず個々木の風通しを良くせよ。

そうしていると自ずから全体の風通しを良くする方法が見えてくる。

それに従っていけば良い。

6.メンテナンスは、非常に重要で、絶えず気を配る必要がある。

先生は「気圧」とおっしゃったが、気のエネルギーを注ぐ必要があるということか?

ただ、その際、今日できること、今できることを常に選択し実施せよ。

そして小さな事柄が及ぼす小さな変化を感じとれるように努めよ。

具体的には、常に備中鍬で溝を掘るという大作業ではなく、小さな点穴を

移植ごてで掘ることで、空気・水の流れを感じとれるようにせよ。

微細な動きを感じとり、小さなエネルギーで大きく動かす技を

身につけよ。

以上、さすがプロ中のプロとの認識を持って帰りました

雑草の活用

農業レポート#34

水田の畑地化―雑草の生え方で土壌の改善状況が解る―     20180425

実験圃場3に、雨除けハウスを建てた畝があります。

この圃場は、201610月に2年近く耕作放棄されていた畑をお借りしたものです。

もとは水田であったものを畑にされていたようで、10㎝程の水田型の表土がありました。

ただ、①水はけが悪く②日あたりがよくないので

実際に使えるのは日の当たる半分、3畝(1畝5m)しかありませんでした。

まず①溝を切り、水はけをよくしたかったのですが、

肝心の排水溝がどこにあるのか全く見当たりませんでした。

今や耕作関係者もおらず、過去の状況が全く解りませんでした。

しかし、とりあえず溝を掘り水が低いところにしみこんで流れるようにしました。

そうして2017年夏は大型トマトを植えました。収量はハウスの半分ほどでした。

ただ、大きくなると白絹病などで倒れて行きます。水はけが悪いのでしょう。

冬は更に畝を10cmほど積み上げて畝高40cmにして白菜を植えました。

しかし、水はけ悪く10cmほど水がたまることもあり、成長はしたものの

結球するほどまでには育ちませんでした。

2018年に、隣接する水田もお借りすることになり、思い切って水をその隣接する水田の排水溝に流せるように切ってみたところ、途中15㎝ほど下に埋もれた排水溝があり

排水口の先は離接する水田の溝に出ていました。

(いずれも埋もれていてわからなかったのです。)

これを復旧すると一気に排水が良くなり、今では180mmの雨でも水がたまらなくなりました。

そうなると面白いことに、雨除けハウスの畝にカラスノエンドウが群生してきました。

カラスノエンドウ群生

どれほど伸びるのか放置しておくと、60cmまで伸びました。

4月に花が咲き、種をつける前に刈取り調べたところ根粒菌がいっぱいついていました。

花咲く

根粒菌

カラスノエンドウのほかにもヒメオドリコソウも生えてきており

自然農の竹内氏が言われる、土のステージが2から3の状態に一気に上がったことがわかります。

今は、刈り取った後、畝を乾かした後さらに耕し、その上から刈った草でマルチをしてあります。5月の夏野菜の苗の定植がたのしみです。

私ども重粘土質土壌の地域で、畑作化を進めるには、まず何よりも水はけを良くすることが

第一ですが、その次は雑草の力でいかに土を団粒化して行くか。その地域に生育する雑草をうまく使って土を耕して行くかがkey pointのようです。

岡やまサラダ菜の早期収穫

2018年岡山サラダ菜の収穫期間短縮

―生産上は大成功だが、販売上・経営上では失敗の巻き―

今年の春野菜は、去年より1週間早く5月下旬かと思っていたが、物によっては相当早まりそうだ。

昨年のfacebookに掲載した苗の鉢上げ時期や、回りの草花の開花時期を見くらべると今年は全て1週間ほど早まっている。

この3月、4月の気温を見ても、最低気温はそれほど変わっていないが、最高気温、平均気温ともに5度以上高い。

結果、ソラマメも6月上旬収穫の予定が相当早まるのではと思える。

収穫期間短縮の顕著な事例が、岡山サラダ菜。

定植時期は、高気温の影響もあり、去年は410日であったのが今年は327日と10日以上早い。

おかげで出荷も、去年は69日に初出荷だったが、今年は426日には出せそうだ。

出荷が1カ月以上早まっている。

この理由を分析してみると

①培土に、昨年は山から取って来た土(団粒構造の良質土)のみを使用していたが、今回は、それに加えて、1年半かけて作った良質の草木堆肥を20%混ぜ、培土の水はけが良くなった。そのため苗の根張りがスムースに進んだものと思われる。

②昨年は、定植先の畝ではマルチ掛けしていなかったが、今年はマルチシートを掛け、更にべた掛けシートを上半分にかけ、保温効果を高めさせた。地温も高く保持できたのだろう。

以上二つの好条件が、高気温と重なり、収穫が1月以上早まったと思われる。

424日現在

okayamasaradana

ただ悩みは、野菜の1種類が特に収穫が早まっても、他の野菜たちとそろってくれないとsetでの販売ができないという販売上の悩みがある。

生産管理上の大成功だが、経営上・営業上の失敗ということになる。

このあたりが固定種の自然栽培が難しいところでもある。

ソラマメの実験栽培part2

ソラマメの実験栽培part

―肥毒対策と害虫駆除のジレンマ―

いよいよ冬も過ぎ、春爛漫となりました。

お陰で心配していた、越冬も無事終わりそうです。

ソラマメも花をつけ出しました。

でもまだまだ油断できません。

遅霜の心配があります。

昨日は朝最低気温がマイナス2度まで下がりあたり一面真っ白でした。

既にトンネルは撤去し、雨除けを兼ねてべた掛けシートのみ

かけております。

トンネルを撤去したのは、晴れて光が差し込むと

トンネル内の温度が軽く40度を越えてしまうことがあり。

蒸れて苗が痛んでしまうからです。

べたがけシートは、①雨が地面に直接当たらないようにするためと、②放射冷却を避けて霜が付くのを防いでくれます。

もう一つの心配は、アブラムシの発生です。

春が来ると、暖かくなりアブラムシのような小さな虫から順次大量に発生して行きます。

まだ、蜂やアブは大きな活動はいたしません。

そうして生態系が維持されて行きます。

この実験圃場は、耕作放棄2年、自然栽培1年半ですから、かなり過剰な肥料は無いはずなのですが、この地の土は重粘土質のため、なかなか肥料分を放しません。

従って、水はけを良くするために、溝幅を広げ、その土を畝に積み

高くしたときなど、昔の濃い肥料が残っていて影響することもあります。

今回は、ソラマメの隣の畝で自生してきたカラスノエンドウに

アブラムシが大量発生しました。

いずれ天敵が増えてバランスを取ってくれるのですが、何分にもアブラムシの増殖率が高く、例えば高次の生物であるテントウムシの自然増殖が間に合いません。

そうすると、隣のソラマメに飛んでくるのは必定。

確かに、第一陣が飛来、見つけて手でつぶしました。

(実は害虫駆除を手でやるには、初期対応が重要です。手遅れになると手では不可能です。)

そこで悩みました。

①本来は、過剰な肥料分を除去してくれるので、カラスノエンドウが増え、そこにアブラムシが大量発生するのは自然のバランスが取れ多いにありがたいことです。

②しかし、これが他に栽培しているもの(ソラマメ)に飛来して成長点を痛めてしまうことは避けたい。(アブラムシは最初に成長点に近い若芽に取り付き増殖して行きます。)

③これが非常に重要なことですが

 アブラムシを大量発生させると、近隣の農家から苦情が出る可能性があります。

 このような環境にしてしまったのは、今までの農家全体の取り組み方が誤っていたからなのですが、多くの人は現象しか見ません。

人間の病気に対応する姿勢と同じように、根本治療でなく対症療法ばかりに

目を奪われております。

 しかし、農地を今後借り増して行くことを考えると、近隣農家との軋轢は極力避けたい。

以上から、今回は、大量に発生したアブラムシを焼き殺すことにしました。

ほぼ1/2をガスバーナーで焼き殺しました。

当然、カラスノエンドウも枯れてしまいます。

その時、思いのほかにテントウムシが来ているのに気が付きました。

圃場内のバランス復元作用は効いてきております。

しかい残念ながら5匹中1匹を焼き殺してしまいました。

残り1/2にはアブラムシも健在ですが、テントウムシの方が素早く移動できるので

アブラムシ対テントウムシの比率がテントウムシ優位に立てたのではないかと思っております。

以上、ご報告でした。

ソラマメの実験栽培(中間報告)

私どもの第2実験圃場でソラマメの栽培の実験栽培を行っています。。

ソラマメ秋まき栽培の第一のpointは越冬がうまくできるかだと思います。

それは、同じ圃場で昨年、スナップエンドウ栽培で学習したことです。

スナップエンドウの場合、本葉4から5枚が越冬の適期です。

(「自給自足の自然菜園12か月」竹内孝功監修)

確かに、それより大きすぎても、小さすぎても成長が良くなかった。

播種する時期が大切ということです。

ソラマメの種はいつも隣の畑(有機栽培)で良い野菜をおつくりになっている方から自家採種の種を頂いた。今回はその方から10月末から11月初旬が適期と教えて頂いていたので、111日を中心に、118日まで分散して撒いた。

お隣は、圃場の整備が遅れ1110日ごろにまかれた。

そらまめ播種

さてその後の展開だが、

私どもは、雨が直接当たらぬようにべたがけシートをかけました。

お隣さんの圃場は何年も栽培されており土ができているので、何もされない。

結果、12月 時点ではこの状況。

播種後の気温が高かったこともあり、雪の降る時期には私どもは本葉8枚ぐらいに

お隣さんは本葉2枚程度。

私どもの播種は10日程度早すぎたか?

お隣のソラマメ

うちのソラマメ

こうなると、次が大変。

積雪では

積雪で若苗が埋まりひしゃげてしまうので、雪をどける作業が必要。

雪を取り除くと、生きてくれていた。

お隣さんは雪に埋もれたままほったらかし。

まだまだ、寒気が続きそうなので、一方の畝にはべた掛けの上からトンネルをかけた。

もう一方は、雨で土が締るのを防ぐためのべた掛けのみ。

今後の展開が楽しみです。

気温変化、栽培方法、その先に・・・・

最近の気象状況は、毎年大きく気温が変化している。

そういう中にあって、自然栽培のものが健闘していることをよく聞きます。

収量が慣行栽培の物を上回る事例も出てきております。

私どもの直近の事例では、ご近所の皆様が作っておられる白菜が結球しないのに、私どもの白菜が結球しておりびっくりされました。

これにはいくつもの要因があるのでしょうが、最大の要因は自然栽培の野菜は、肥料を与えられないことから根の張りが慣行栽培の物の3倍以上になることから天候異変に対する対応力が違うのでしょう。

その代わりに、生育必要期間が、慣行栽培の物の2倍ぐらいになることはざらにあります。

根の張るのに時間を要して、上の物が収穫できるまでに時間を要してしまいます。

慣行栽培では、肥料があるので最低限の根張りで、上のものができてしまうのです。

2番目の要因は、生命力の違いではないかと思っております。

固定種の野菜は、いのちをつなぐことが第一使命です。

(だから、旬があるのです。)

小さい個体も、大きな個体も、みなそれなりに自分の子孫を残すために最適な状態で花をつけようと考えます。

後述するように、昨今の気温が激変する環境下では、いつ花をつけるかの判断が植物にとって非常に難しくなります。従って、将来の先読み能力が非常に重要になります。

この能力は、個体で磨いているだけではなく、野菜集団の中で協力し合いながら危険分散すらしているのではないかと思います。

敢えて先に芽を出して、次に出てくる本命の野菜たちに地上の状況を教えているのではないかと思えるようなことも起こっております。

そう考えると、利益第一主義、生産性第一主義で進んできた慣行栽培では、使用される種の多くが周年栽培用に品種改良されておりますので、自然への感応度は鈍く設定され、マイペースで成長することになります。要は周りの環境には影響されることなく生産者の都合に沿うように設計されています。

天候・気温の変化が一定の幅に収まる場合はそれでよいのですが、昨今のように激変する場合は、適応できず、不作となります。

本来の生物は、多様性を確保し、環境の変化に集団で乗り切ろうとするものです。

今の人間社会は、これとは全く異なり標準化・量産化が第一目標です。

地域の環境を無視して突き進んでおりますので、あちこちで矛盾が生じます。

それが様々な病気や社会問題となって表れてきます。

結論としては、この標準化・統一化の人間活動は、自然の動きによって破たんし修正を余儀なくされると思っております。

しかし、それは、今すぐではなく、更に標準化・統一化・工業化が進んでいく中でより深刻なGAPとなって表れてくると思っております。

しかし、一方、当の人間は、次第にGAPの認識もうすれ、問題の根本的発生原因すらわからなくなってしまうのでしょう。

その時に大きな災害として顕現するものと思います。

過去の民族神話の多くに、一部の人間しか生き残れない災害が出て参りますが、それはそのような状況を語っているものと思います。

「生命の絆をつなごうとする人しか残れない、残らない」というのが真理なのでしょう。

心したいものです。

なお、福知山市の2012年から2018年まで7年間の最低気温をプロットいたいました。

ご覧ください。

縦軸が気温、横軸が日にち、系列1が2012年、系列7が2018年です。

自然栽培の中でもこだわり度が異なる

世に自然栽培と言われるものでも、千差万別です。

認証自体も複数あります。例えば羽咋市でも行っております。

自然農では岡田茂吉氏の推進されているグループも基準を出しておられます。

有機栽培に極めて近いものから、自然農と言われるもの、私どもの認証取得しております木村式自然栽培まで様々です。

私共河野農園は、木村式自然栽培の認証を取得しておりますが

私見として

自然栽培の根幹は、自然の生命循環を維持し環境との調和を図ることにあると思っております。

この条件を外してしまうと、長期の視点を見失ってしまうからです。

短期的な利益追求志向が強い現代社会では、自然栽培といえども工業的な短期合理性が重視され、自然本来の多様性を放棄してしまいがちになるからです。

ただ、事業化の過程で、栽培作物の本来の条件(生育気温等)から、物理的な補助資材の使用を認めなければならないと思います。そうでないと、収穫できる作物が限られてしまい、事業として成り立たなくなってしまいますので。

これは、木村式自然栽培でも認められております。

(例:ハウス、雨除けハウス、マルチングや暗渠工事等の排水施設)

さて、多様な自然栽培を整理して行く中で、私ども河野農園のこだわりご紹介させて頂きます。

まず、自然栽培の条件を難易度が上がる順に積み上げていきましょう。

1.無農薬+無肥料・・・・・・・・・・・必要最低条件

   初期防除で土壌消毒がなされることがありますが、これは自然栽培に該当しません。

2.耕作期間が3年以上 ・・・・・・・・3年未満は移行期間と言われます。

   肥料成分が消えるのに短くても3年はかかるからです。なお、土を毎年入れ替える使い捨て方式は自然栽培とは言いません。自然循環の考えに反します。1cmの土を作るには最低でも10年から100年かかります。

3.土壌改良に、完熟堆肥のみ使用 ・・・

完熟堆肥は、その圃場で取れた雑草等を3年間かけて堆肥化したものを 言います。輸入飼料を食べた牛・鶏から排出される牛鶏糞を使用しての完熟堆肥は、自然の生命循環からはずれるので対象外となります。

4.水は井戸水を使用。もしくは湧き水等の農薬肥料の入らない源流水を使用。

   平野部、下流域では、途中に慣行栽培の水田・畑があるので農薬肥料の混入は不可避です。従て、井戸水を使用することになり、当然に水質検査が必要になります。

5.種は固定種。・・・・・・・・・・・・・生命伝承機能を持っている

   自然栽培で流通している野菜のほとんどがF1種です。耐病性に優れ、形が整い収穫時期がそろうからです。

   固定種では、生長速度がばらばらでそろわないため、収穫作業が大変です。

6.固定種の種を自家採種・・・・・実際に種を自分の圃場で取っている。

   自家採種するには、余分に畑が必要です。

   交雑を考えると、独立・隔離された圃場が別に必要です。

以上の条件を満たしている農家のパーセンテージを求めてみると、概要以下の通りです。

①有機栽培・・・・・・・・・0.4% 日本の耕作面積比(農林省統計による)

以下は統計データがないので推測ですが

②自然栽培・・・・・・・・・自然農を含め①有機栽培の1/10

    有機栽培に行き詰った方がなされます。

    最初から自然栽培に飛び込む方は少ないです。

③固定種を使用・・・・・・・②自然栽培の1/10

ナチュラルハーモニー銀座店の店頭に並ぶ野菜の履歴から判断

④自家採種を実施・・・・・・・③固定種の1/5

       実際に採取してみて、その困難度から判断

種取り圃場を設ける余力と、収穫後の作業が余分に必要です。

なると2の期間、4の水の確保を考慮外としても

日本の農家(正確には耕地面積)の0.004*0.1*0.1*0.20.000008

となり多くて10万分の1になります。

日本の全耕地面積461ha*0.0000083.7ha

日本の全農家253万*0.00000820

という推測が付きます。

いかにわが農園が稀少な存在であるかがわかると思います。

これが、わが農園はonly 0neを目指す根拠でもあります。

苗用の土作り

河野農園では、お野菜もお米も苗作りから始まります。

種を播く土も無農薬・無肥料のそれぞれの畑や田の土を使います。

粘土質の土塊をこぶし大まで崩して乾かし

何回も木槌で砕いてふるいながら「土」を取って行きます。

お野菜用の畑の土は5mm以下、お米用の田の土は3mm以下までふるいます。

土埃がひどいので防塵マスクを着用します。

こうして作った土に,培土やくん炭を混ぜた土に種を播くのです。


 

足かけ3年の基盤整備工事

 

2017年から新規に農地を借り入れしましたが、

 

残念ながら湿田で排水性も湛水性も乏しい状態のモノでした。

 

大型機械を入れても緩くて収穫を放棄するような田んぼで、私どもの持つ小さいトラクターを入れますと、泥にはまって出られなくなってしまう様な地盤の緩い土地でした。

 

給排水の配管位置がわからない。

 

あるいは機能していない。

 

法面が崩落している、漏水が著しい。

 

地面の傾斜が偏っているなど等の問題から、すぐに作付けできるような土地ではありませんでした。

 

そのため、夏場の晴れ間などを使い、こつこつと排水管の再敷設、

 

外溝の掘削、崩落法面の補修などをして、ようやく湿田を畑の圃場として利用できる形に整えました。

 

 

 

はじめはバックホーを入れるのもお腹をすってアームで移動しなければ動けないような場所でしたが、

 

少しずつ排水性を良くしながら、

 

時間と労力をかけて利用できるように改善しました。

 

 

 

中山間部の農地は大体みな同じような状態ではないでしょうか。

 

大規模な圃場整備をしてから当地では40年が経過し、

 

大規模化、機械化などの取り組みなどがあったそうですが、

 

大きい田んぼでもせいぜい23反で、のり面が高く、平野部で見られる畔を乗り越えての

 

圃場の移動などが無理な場所が多いため、農機の移動も、畦畔の草刈りの労力も平地とは全く違います。

 

そんな山間部ですが、

 

地道にコツコツと取り組んでおります。

BEFORE

工事前

 AFTER

工事後

種取り用ハウスの完成

 

18年末から新規圃場の基盤工事と並行して進めていたのが種採りハウスの建設です。

 

山が近く、周辺からの受粉の可能性も少ない場所ではあるものの、水はけの悪い死地を改良しての建設です。

 

もともと地下水位が高い場所でしたが、畝を高く盛ることで野菜が問題なく育つことは確認できていましたので、土台を作りその上に土を盛り、畝を立ててからの、建設基準の作成。

 建設開始

基盤工事に注力していたため、19年から骨格の建設をはじめました。アーチパイプを配置し、背骨となる直管を5本固定しましたが、やはり地盤が緩いため、場所により水引線より5cm沈むという状態に。

 骨格

アーチの穴に小石など詰め込んで固定してはいましたが、建設を進めて鉄管の骨がそれぞれ組み合わさると重さもそれなりになります。勝手に沈みます。

 

ということで丸太を切って下鉄管と地面の間にかませてジャッキアップ。これで下がりすぎることはなくなりました。一通りの骨組みを組むのは終えて、19年の秋に聖護院蕪の種を撒き、骨組みだけのハウス内で栽培開始です。

 聖護院蕪

20年の1月に入り妻面の建設も終えて、本格的にビニールや防虫ネットの展張となるのですが、綾部では3月に岸焼という川岸や農道・畔などの冬の枯れ草を焼き払う行事があります。

 

山が近いので結構な法面があり、毎年焼くのですが、ビニールハウスにとっては火の粉が飛んで触れると穴の原因になります。今年は雨のため中止になりましたが、当日の天気によるので、中止か岸焼が終わるまでビニールは張れませんでした。そうこうしているうちに無事に育った聖護院蕪は花芽を伸ばし始めます。あまり大きいとは言えませんが霜にも虫にも負けなかった、形の良いものを残して間引き、選抜をします。

 

1月には防虫ネットを張り、岸焼中止後に天井ビニールを張り、急ピッチでハウス外観を建設。無事開花までには扉もついて建設が終わりました。今は開花してくる菜花にひたすら受粉作業をしています。

完成 

今年から夏野菜の一部も植え付けをし、交雑の心配が低いものを種採りしていく予定です。

 

  



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綾部市に移り住んではや6年、木村秋則式自然栽培に学び、無肥料・無農薬での栽培を行っております。
4年間土作りに取組み、まだまだ田んぼの土ですが、そんな中で頑張って根を張り、一生懸命育ったお野菜をご提供しております。
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